2009年11月12日
夜叉ケ池と天守物語

白雪姫と富姫。
実はこの二人は知人である。
直接的には繋がっていないそれぞれの物語の中で、ちょっとした台詞として名を呼ばれたりする。それは泉鏡花ファンにとってはにやりとしてしまう場面だろう。
村上春樹も新しい作品に以前の作品の登場人物の名を登場させたりしていたはず。そう言えばジェフリーアーチャー(百万ドルを取り返せ。とかで有名な)もそんなことをやっていた。(同列に置くのはどうかと思うが)
小説を書く人たちの中でもとくにストーリーテラーと言われる人たちは読者へのサービス精神が旺盛である。泉鏡花にもそんなサービス精神を感じる。
昨日静岡芸術劇場で泉鏡花原作宮城聡氏演出SPAC「夜叉ケ池」を観た。
思っても見なかったことだけどエンディングはちょっとウルっときた。
とくに百合役の布施さんが良かった。萩原晃(永井氏)とともに重なったまま終幕となる場面はとくに美しい。それは空間とライティングのなせる技による演劇らしい場面だった。その場に身を置かなければ感じることの出来ない限定された時と間。カーテンコールに二人が登場しない演出も好感が持てた。
その夜、スノドカフェでは泉鏡花「天守物語」の朗読会があった。
月一開催の古典戯曲を読む会@静岡のただ今の声目がこれ。
何とも贅沢なことに夜叉ケ池に出演していた二人の役者も参加。物語のキーパーソンである山沢学円役の奥野氏と迫力ある穴隈鉱蔵を演じた吉植氏である。(奥野氏は読む会主宰者なので基本的に毎回参加)
臨場感たっぷりに語る吉植氏に参加者全員の笑いと拍手がまきおこる。エンディングの語りにはちょっとウルっときた。
清々しい。
ふたつの泉鏡花を終えて、何故かそんな感情だった。
それは戯曲のせいでもあるし、人のせいでもある。
忙しい日々の中で一息つけた。そんな感じがした。
Posted by 柚木康裕 at 11:02│Comments(1)
│演劇・ダンス
この記事へのコメント
こちらでもブログ記事をUPしましたのでごらんください。
Posted by おっち at 2009年11月16日 12:20