2012年04月11日
「Girl / Mother / Woman」@静岡県立美術館
先日の日曜日のこと。
県美の収蔵品企画展「 Girl / Woman / Mother 」を見たが、これはいわゆる白眉と言えるような展覧会だったのではないだろうか。新たに寄託された作品が半数以上を占めていたのだが、それらは一般的に宣伝されなかった。と言うのも著作権などの権利関係がデリケートな作品が多く、あえて宣伝に使用しなかったということらしい。最終日の2日前にたまたま出品アーティストの名前を知ったことから食指が動き、出掛けるに至った。結果的に大正解、と言うより見逃さなくてよかったとホッとした次第。展覧会は期待に違わない内容で非常に満足いくものだった。また同時にこれらの作品がこうして観られることに不思議な感覚も憶えた。どちらかというと現代アートとして紹介できる作品群である。東京都現代美術館の常設展ならいざ知らず、静岡県美の収蔵品企画で気軽に観られるとは思わなかった。作品を寄託された方へただただ感謝である。
もともと行く予定でない展覧会でも、以下のアーティスト名を聞けば考え直してしまう。写真家が多数を占めるが森山大道、荒木経惟、上田正治、マン・レイ、ロバート・フランク、ウィリアム・クライン、石内都、オノデラユキなど。写真好き、アート好きなら”おおっ”と前のめりになるのに充分ではないか。写真家以外ではジュリアン・オピー、小谷元彦という名前にも引き寄せられる。ラインナップされた作品は代表作とはいかないが、どれも作家の魅力を伝える良品揃いであった。たとえば森山大道の70年代の新宿を撮った作品は時代の熱気と猥雑さが荒い画面を通して溢れているし、荒木経惟の「少女世界」も彼ならではのアンタッチャブルな少女の世界をありありと映し出している。(それにしても両者とも現代では犯罪となってしまうような写真が多いこと!)それに対しウィリアム・クラインの作品「ニューヨーク」はもちろん白黒なのだがとてもヴィヴィットなイメージとして伝わってくる。こうして同時に観ると森山、荒木、上田などが撮す昭和の光と影はどくどくの粘っこさがあるように感じた。とくに森山の影は昭和のサブカルを代表する漫画家つげ義春の描くねじ式の黒ベタを思い起こさせる。それは忘れたい記憶でありながら憧憬を引き出す黒でもある。
石内、オノデラ、オピーの作品もそれぞれに作家の特徴を伝えている作品で見応えがあった。
同時開催していた中世の銅版画の収蔵品企画展「マスタープリント」も出品数が多く、充実したコレクションを観ることが出来た。エッシャーのトリック絵みたいなピラネージの「牢獄」はとくに素晴らしかった。廃墟フェチには堪えられないのではないだろうか。笑)
実は「日本画春の景」としてもうひとつ収蔵品の企画が開催されていた。これらすべてを観て300円! 破格である。これほどコストパフォーマンスが高い展覧会はそうそうないだろう。それにも関わらず、しかも最終日の日曜日に関わらず観覧者はほとんどいないという残念な状況だったが、きっとこういった展覧会を続けて行くことによって静岡県美ファンが育まれていくように感じる。良い企画展はきっと噂になって、誰かの「イイネ!」が伝わっていくに違いない。たとえ集客が見込める大型巡回展よりも確実にファンを増やしていくのだと思う。
このように充実した収蔵品企画がどんどん打ち出されていくことを期待したい。
[ 展覧会情報 ]
3つの収蔵品展
「 Girl / Woman / Mother アーティストが描き出す少女、女、母のイメージ」
「マスター・プリント」
「日本画 春の景」
静岡県立美術館
2012年3月13日(火)〜4月8日(日)

県美の収蔵品企画展「 Girl / Woman / Mother 」を見たが、これはいわゆる白眉と言えるような展覧会だったのではないだろうか。新たに寄託された作品が半数以上を占めていたのだが、それらは一般的に宣伝されなかった。と言うのも著作権などの権利関係がデリケートな作品が多く、あえて宣伝に使用しなかったということらしい。最終日の2日前にたまたま出品アーティストの名前を知ったことから食指が動き、出掛けるに至った。結果的に大正解、と言うより見逃さなくてよかったとホッとした次第。展覧会は期待に違わない内容で非常に満足いくものだった。また同時にこれらの作品がこうして観られることに不思議な感覚も憶えた。どちらかというと現代アートとして紹介できる作品群である。東京都現代美術館の常設展ならいざ知らず、静岡県美の収蔵品企画で気軽に観られるとは思わなかった。作品を寄託された方へただただ感謝である。
もともと行く予定でない展覧会でも、以下のアーティスト名を聞けば考え直してしまう。写真家が多数を占めるが森山大道、荒木経惟、上田正治、マン・レイ、ロバート・フランク、ウィリアム・クライン、石内都、オノデラユキなど。写真好き、アート好きなら”おおっ”と前のめりになるのに充分ではないか。写真家以外ではジュリアン・オピー、小谷元彦という名前にも引き寄せられる。ラインナップされた作品は代表作とはいかないが、どれも作家の魅力を伝える良品揃いであった。たとえば森山大道の70年代の新宿を撮った作品は時代の熱気と猥雑さが荒い画面を通して溢れているし、荒木経惟の「少女世界」も彼ならではのアンタッチャブルな少女の世界をありありと映し出している。(それにしても両者とも現代では犯罪となってしまうような写真が多いこと!)それに対しウィリアム・クラインの作品「ニューヨーク」はもちろん白黒なのだがとてもヴィヴィットなイメージとして伝わってくる。こうして同時に観ると森山、荒木、上田などが撮す昭和の光と影はどくどくの粘っこさがあるように感じた。とくに森山の影は昭和のサブカルを代表する漫画家つげ義春の描くねじ式の黒ベタを思い起こさせる。それは忘れたい記憶でありながら憧憬を引き出す黒でもある。
石内、オノデラ、オピーの作品もそれぞれに作家の特徴を伝えている作品で見応えがあった。
同時開催していた中世の銅版画の収蔵品企画展「マスタープリント」も出品数が多く、充実したコレクションを観ることが出来た。エッシャーのトリック絵みたいなピラネージの「牢獄」はとくに素晴らしかった。廃墟フェチには堪えられないのではないだろうか。笑)
実は「日本画春の景」としてもうひとつ収蔵品の企画が開催されていた。これらすべてを観て300円! 破格である。これほどコストパフォーマンスが高い展覧会はそうそうないだろう。それにも関わらず、しかも最終日の日曜日に関わらず観覧者はほとんどいないという残念な状況だったが、きっとこういった展覧会を続けて行くことによって静岡県美ファンが育まれていくように感じる。良い企画展はきっと噂になって、誰かの「イイネ!」が伝わっていくに違いない。たとえ集客が見込める大型巡回展よりも確実にファンを増やしていくのだと思う。
このように充実した収蔵品企画がどんどん打ち出されていくことを期待したい。
[ 展覧会情報 ]
3つの収蔵品展
「 Girl / Woman / Mother アーティストが描き出す少女、女、母のイメージ」
「マスター・プリント」
「日本画 春の景」
静岡県立美術館
2012年3月13日(火)〜4月8日(日)

波多野里香展
画集「持塚三樹 Sun Day」
風景美術館でかんがえたこと
持塚三樹展 Sun Day @ヴァンジ彫刻庭園美術館
佐藤浩司郎「DISTORTION」@Gallery PSYS
清水現代アート研究会Vol.5
画集「持塚三樹 Sun Day」
風景美術館でかんがえたこと
持塚三樹展 Sun Day @ヴァンジ彫刻庭園美術館
佐藤浩司郎「DISTORTION」@Gallery PSYS
清水現代アート研究会Vol.5
Posted by 柚木康裕 at 21:18│Comments(2)
│アート・美術
この記事へのコメント
私も土曜日の午前中に行きました。
植田正治さんなどのオリジナルプリントが良かったです。
ほかの作品も見ごたえありましたね。
ほんと、宣伝がうまくいってないのが残念・・・。
植田正治さんなどのオリジナルプリントが良かったです。
ほかの作品も見ごたえありましたね。
ほんと、宣伝がうまくいってないのが残念・・・。
Posted by よー介 at 2012年04月12日 21:47
よー介 くん
植田氏の構図はとてもモダンでシュールで興味を惹きますね。
戦争直後の鳥取であの写真が生まれたことに本当に驚きです。
会場は静かで集中して見られるのはいいのですけどね、、、。>_<
植田氏の構図はとてもモダンでシュールで興味を惹きますね。
戦争直後の鳥取であの写真が生まれたことに本当に驚きです。
会場は静かで集中して見られるのはいいのですけどね、、、。>_<
Posted by (ユノキ/ヤスヒロ)
at 2012年04月13日 00:24
