2011年07月26日
人と煙と消えるかたち@静岡市美

現在静岡市美術館で大規模な「歌川国芳展」が開催されているのだが、入場する前にまずはエントランスホールで開催されている彫刻家袴田京太朗の展示に注目してみたい。浜松市出身の袴田氏はカラフルなアクリル板を積み重ねて作る人物彫刻で注目を集めている作家である。2007年、2008年に出品した資生堂ギャラリーでのグループ展「椿会展 Trans-Figurative」で認知度が高まったような気がするがどうだろうか。わたしは2008年の時に始めて見たのだが、作品のインパクトとオリジナリティに強く惹かれたのを記憶している。その後度々鑑賞することがあったのだが、まさか静岡で見られるとは予想していなかった。(その意味では先日会期が終了した静岡県立美術館の「小谷元彦展」といい、静岡でもぐっと現代アートが近くなった感じがする)
「人と煙と消えるかたち」と題された今回の展示はこの10年間の代表作ともいうべき12作品から構成されている。00年代前半の白一色のコンセプチュアルな抽象彫刻から出世作Familyシリーズおよび新作を鑑賞することが出来る。各作品はボリュームもありエントランスというオルタナティブな場所としては贅沢な展示となっている。袴田氏曰く、学生のころから彫刻家として人物をモチーフとして扱うことはタブーと教えられ、彫刻とは抽象彫刻であったとのこと。(アーティストトークでの発言)
しかし00年代後半に入り、まさに造ってはならない人型の彫刻作品を展開することによって一段と評価を得たのは、非常に興味深いことである。もちろん彼が現在制作しているものは当時言われていたモダンで教養主義的な人物彫刻ではない。彫刻として通常使用しないアクリル板をあえて使い、重ね合わせてカラフルな人物彫刻を制作する。さらにその造形を活かしたユニークな展示方法(台座はなく壁面に絵画のように展示される。有り体な言い方だがそれは重力からの解放も示している)を採用することによって人物彫刻にまつわるネガティブな印象を払拭することに成功している。そこにタブーから解放された作者自身の軽さも見てとることが出来るのではないだろうか。ただ主題に注目したとたんにその軽さは簡単に消える。主題が与えるものは、個人のスタイルが劇的に変化している現代社会において家族という単位は維持可能なのかという重い問いだろう。壁面に顔を付けて所在なく佇む父母子はそれゆえに無口である。もっともこの素材が与える軽さと主題が生み出す重さのバランスがFamilyシリーズをより魅力的にしていると感じている
新作「 Rising Smoke 1」「 Rising Smoke 2」は馴染みの素材となったアクリル版を使った抽象彫刻。素材を変えず具象から再び抽象を扱うところに作家の意欲的な創作態度が垣間みれる。4mもの高さのある棒状の彫刻はこのエントランスホールでの展示に合わせたスケールということ。おおよそ900枚ものアクリル板を重ねているのだが微塵も感じさせない軽さがある。(積み重ねるという水平感とそそり立つ垂直感。この縦と横の関係性が魅力的)そのスケールとひねりを加えた棒状の立体構造はDNAの二重らせんを想起させる。袴田氏が創り出す家族(Family)の遺伝子は今後どのように伝わり、変化していくのか。次なる展開が楽しみである。
展示期間は10月23日まで。無料。
ぜひ一度じっくりご鑑賞することをお勧めします。
波多野里香展
画集「持塚三樹 Sun Day」
風景美術館でかんがえたこと
持塚三樹展 Sun Day @ヴァンジ彫刻庭園美術館
佐藤浩司郎「DISTORTION」@Gallery PSYS
清水現代アート研究会Vol.5
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Posted by 柚木康裕 at 13:43│Comments(2)
│アート・美術
この記事へのコメント
足あと返しです。
ユノキさんの卓越したアート感覚には脱帽です。
お世辞ではありませんよ。
ユノキさんの卓越したアート感覚には脱帽です。
お世辞ではありませんよ。
Posted by おっち
at 2011年07月27日 09:35

おっちさん
毎度です。
コメント遅くなりすみません。
まだまだ稚拙ですが、精進してまいります。
今後もよろしくお願い致します。
毎度です。
コメント遅くなりすみません。
まだまだ稚拙ですが、精進してまいります。
今後もよろしくお願い致します。
Posted by (ユノキ/ヤスヒロ)
at 2011年08月01日 22:50
