2008年09月19日

セザンヌの山

モン・サント・ヴィクトワールマルセイユにほど近いエクス=アン=プロヴァンス(発音としてはエクサンプロヴァンス)の街から望むサント=ヴィクトワール山(Mont Sainte Victoire)。

セザンヌ好きにはよく知られた山。

サント=ヴィクトワール山は彼が何度も何度も描いたモチーフで、この時の技法がのちのキュビスムに繋がっていたと言われています。そのために彼は「近代絵画の父」と呼ばれたりしています。

印象派は写実から絵を解放しましたが、セザンヌはこの山を描くことによりフォルムから色を解放しました。色はフォルムに従属しているのではなく、「色はそれ自体がフォルムである」ような筆遣いで画面を構成していきます。色をリズムよく置くような感じでそれがフォルムになってくみたいな雰囲気です。モネの睡蓮のように揺らいでいる感じとも違いもっとブロック化されているような印象といいますか。フォルムからもっと突き放しているというか・・。言葉足らずですみません。(笑)

現代に生きている我々はこれを観ても何も変だとは感じませんが、やはり当時の人にとっては理解しがたかったようです。(つまり前衛であり革新だったわけです。いつだって時代は後から付いてくるのですね。)

彼の一番有名な絵は静物画だと思いますが、実はそれは一般受けする写実でアカデミックな絵画からほど遠い少しパースの歪んだ奇妙な構図の絵が多いのです。(当時はこれも受け入れられなかったでしょう)
他のモチーフでも遠近法がしっかりしていないものを良く見かけます。
でも、それも彼一流の理論がそこにあるのだろうと思っていました。画集などのテキストにはそんな感じで書いてあるし。

しかし、最近その思いにちょっと?クエッションマーク?が付いています。

なぜならセザンヌ批判(もっともそこにも愛はあるのですが)のような文章を最近立て続けに読んだためです。しかも僕がシンパシーを感じている大物二人なのですから、聞き捨てるわけにもいけません。
1人は「芸術は爆発だ」の岡本太郎。彼がセザンヌをけちょんけちょん(まさにこの表現がピッタリ)にこき下ろしていたのです。はっきりと言っていました。「ヘタ」と。(笑)
もう1人は人気現代アート作家の会田誠さん。さっぱりセザンヌは分からないと言っていました。

実力者のお二人がそう言うのだからそこには確かな理由があるのですが、僕としてはちょっと不思議な感じでした。まあそれは、常識を疑えとか、制度としてのアカデミズムにちょっと待てと意義申し立てをするみたいなことを多分に含んでいる、ということは理解出来るのですが。
改めてもう少しセザンヌを探ってみたいなあなどと考えている最中です。

サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワールまあ、そのあたりの理論はどうであれ、僕が彼の絵自体を嫌いになることはありません。
サント=ヴィクトワール山はとても気持ちのよい絵です。この辺りではブリヂストン美術館の常設展で見ることが出来ます。(常に観れるかどうかはわかりませんが前回行った時は観れました。いつ頃だったかな?1年ほど前?・・・)
観るとホッとしたりします。たまには小難しい現代アートではなくて、分かりきった絵を観るのもいいもの。一種の癒し効果です。(笑)



始めてサゼンヌのサント=ヴィクトワール山を観たのはもう随分昔(ゆうに十数年前)のこと。しばらくしてから気にも留めなくなりましたが、この山と2~3年前ほど前にぱったり再会したのです。ある写真集で。
それはたんたんと山の様子が続く写真集でした。同じ山でもそこにあるのはあのセザンヌの山ではありませんでした。イメージがだぶりようのない全く始めて知る山のような感じ。

MONT SAINTE VICTOIREその写真集のタイトルは「 MONT SAINTE VICTOIRE
写真家は鈴木理策さん。

そうなのです。今度の県美で行われる現代アート企画展「風景ルルル」に参加する作家さんが2004年に出版した写真集。僕が彼を始めて知ったのがこの写真集でした。独特の雰囲気が漂っているその写真は何か近寄りがたいものがあったのを憶えています。
最近では人気も上がりいろいろな雑誌で見かけるようになりました。つい最近発売された写真集「Yuki Sakura」もとても素晴らしい仕上がり。
こんなに人気も実力もある方がルルルに参加するなんて。よっしゃあ!て意味の解らない掛け声のひとつも出てしまいます。(笑)

というわけで、次回の「風景ルルル」考・その3は、この続きとして鈴木理策さんをフィーチャーします。
それでは、今日はこのへんで。


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Posted by 柚木康裕 at 18:31│Comments(2)アート・美術
この記事へのコメント
コメント書き始めましたが、へんちくりんな文章に
なったので消しました。でも、
その悪戦苦闘をココに記したいので、、、、、。
読んでいますよ。時々ですが。
Posted by チャオクボ at 2008年09月19日 22:43
> チャオクボ さん

読んでくれてありがとうございます。
もうそれだけでも十分ですよ。

もっとコメント書きやすい記事にしますね。(笑)
Posted by (ユノキ/ヤスヒロ)(ユノキ/ヤスヒロ) at 2008年09月20日 02:50
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    コメント(2)