2009年05月30日

アートアワードトーキョー

アートアワードトーキョー

気がついたら5月もあと2日。

行幸地下通路ギャラリーで行われているアートアワードトーキョー丸の内2009も明日まで。
2年前にこの企画が始まって3回目となる。

毎回見ているけど学生たちの作品を仕上げるスキルは確実に上がっているように感じる。今回はとくにその印象を強くした。とにかく作品としての仕上がりがきっちりしているには驚く。もっともこれは主題のオリジナリティとか、コンセプトの強度とは別の話で、あくまでも藝術の技の部分のこと。

学生の作品とはどこか荒さが残っていたりするのだけど(そこが伸びしろとも言えるけど)、最後までコントロールされている印象を受ける。これは地元の美術系学校の卒展を見ても感じたことだ。

学生たちの共時的なスキルの上昇は教育方法の多様化や情報技術の発達によってハウツーを共有しやすい状況が増たり、素材の発達や材料の改良などによる扱いやすさなど要因はさまざまあるのだと考えられるが、ひとつの大きな要因に他者を意識して制作していることを上げられるのではないだろうか。

簡単に言ってしまえば人に見せる、あるいは人に渡る。という意識。

当たり前と言っては当たり前すぎることなのだが、実は少し前まで本当にこのことを意識していたのかは疑わしい。(それは今でも疑わしいままですが)
藝術の孤高性がこのような他者を寄せ付けないエクスキューズになっているのも事実でしょう。

でも今の学生たちは必要以上に藝術の神聖を持ち上げもしていないのではないだろうか。それよりも作品は”私”を知らせる何ものかであり、事物を共有するためのメディアとして存在している。

より現実的というより切実な何かを感じさせる。

アートアワードトーキョーの作品は選ばれているといった意味において様々なスタイルが並ぶのは驚くことではないが、それにしても多種多様である。何かの型にはめることがばからしくなるくらい。旧来のイズムやアートの分類はもう意味をなしてないことが実感できる。

もっとも人と交わらないスタイルこそ”私”を表現した結果なのだとしたら、そこにある共通した欲求を見ることも出来るかもしれない。

それにしても今回はかなり気に入った作品が多かった。
彼らの今後を期待したい。


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Posted by 柚木康裕 at 10:51│Comments(0)アート・美術
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