2011年08月01日

足助知哉展「あかりのりんかく」

足助知哉展「あかりのりんかく」

 鷹匠にある仕立屋さん「 atelier brahma 」のギャラリーで本日より開催の足助知哉展「あかりのりんかく」に立ち寄った。古い集合住宅の4Fにあるこじんまりとしたギャラリーはオーナーの人となりがそのまま現れたような静謐でほんのりした暖かさに包まれた空間である。奇跡的なバランスの上にこの居心地は存在していると来るたびに思う。午後のやさしい光がガーゼのような素材のカーテンを透して部屋を満たしている。見えないものが充満し、それに触れている感覚が心地よい。

 ローソク作家の足助くんはラッパーでもある。しばらく前のイベントでポエトリーリーディングのパフォーマンスを観た時に気に入って声を掛けた。以来度々言葉を交わす。最初に僕はてっきり詩人とか言葉を綴る人かと思っていたら普段は社会人をしながらクラブなどでラッパーの活動をしているということだった。もっとも言葉を扱うという点ではラッパーも同じだ。現代社会を深く鋭く見つめる目は詩人にもけっして負けてはいない。ただしその言葉を発するときに共有されたスタイルがあることが詩人とラッパーの決定的な違いだろう。リズムにのせてオーディエンスと一体化するエモーショナルなライブこそが彼らの生き方。そんな彼がローソク作家であることを知った時は以外に感じた。言葉の人が作る物ってのはどんなものなのだろうか。興味が深まる。

 「あかりのりんかく」と題したローソクの展示。作品は1mに届くほどのものから10cmに満たない物までさまざま。柔らかさを感じるカラフルな色は夏にピッタリ。聞けばシャボン玉を意識したということ。別シリーズではモノトーンのクールな表情なものも。
僕が気に入ったのは(購入したのは)三ヶ日みかんで色を付けた小さなローソク。タイトルは「みかんのローソク」。なにもひねりがない!笑)興味を引いたのは煮出して色付けに使ったみかんを乾かしてローソクの底の素材として使用したこと。ローソクの隙間から見える皮の表情が楽しい。みかんは仕事で営業に廻っている時に無人販売で購入したそうだ。ドメスティックな素材と行為。洗練からはほど遠いかもしれないがそこには共感できる現実感がある。彼の創作物はこの現実感というキーワードで繋がっているのかもしれない。目をそらさずに現実を見つめるのは時に困難が伴うが、それでも見続けること。見続けた先に表れるりんかく。
 あかりのりんかくと言われるとぼんやりという印象があるけれど、彼のローソクはもっと活き活きとしたりんかくを描き出しそうな気がしてきた。さっそく今夜火を灯してみよう。

足助知哉展「あかりのりんかく」足助知哉展「あかりのりんかく」
会期:2011年8月1日(月)ー8月10日(水)
時間:11:00 ~ 19:00
場所:atelier brahma / アトリエブラフマ
   葵区鷹匠2-16-5 静岡ハイツ403


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Posted by 柚木康裕 at 20:35│Comments(0)アート・美術
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