2012年04月28日
リスボンの一番大きな広場から「旅」は始まった。

「なんというポエジー!」
言葉や文化の違う人たちが創り出す演劇を観てこのように感じるときに、一体ぼくのどこが反応しているのだろうか。
ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアをモチーフにした路上演劇「旅」(@沼津市中央公園)を観た。舞台を始める場所をリスボンの一番大きな広場(名前を忘れた)に見立て、そこから観客を引き連れてまさに旅をしているように動きながら演技が繰り広げられていく。有機的に舞台が現れては消え、境界線もあいまいなまま役者たちと一緒に練り歩くのは新鮮な体験となった。
舞台の始まりを告げる台詞のなかに「毎日新しい自分を発見する」といった意味の言葉があった。複数の名前を持つこの詩人の台詞となればこの意味するところは限りなく深い。旅とは他者との出会いの場であるが、ペソアのいう他者とは他人ではないことはこの舞台を観ても明白である。彼にとっての他者とはこの台詞が示すように新しい自分であろう。それはこれから出会う私と同時に過去にいた私も示すのだと思う。しかしペソアが興味深いのは新しく出会う私を現在の私に収斂させることなく複数のまま存在させていることではなかろうか。この舞台はその複数性をポエティックに現していると感じた。
「旅」も終盤にさしかかる頃、「子供の頃に見た夕焼けの町並み」といった台詞を聞いたときにぼくにも突然の出会いがやってきた。夕焼けを見た子供のぼくが不意に現れたのである。それはペソアがかつて見たリスボンの夕焼けとはもちろん違う。子供のぼくが見たのは近所の裏山から見た夕日であり、浜から眺めた夕日である。しかしまったく異なったそれぞれの景色はひとつの言葉によって分けがたく繋がりこの感傷を共有する。そのときに共有している主体は現在の私たちでなく、他者としての子供の私たちということであろうか。
それにしても素晴らしい舞台だった。最後は思わずブラボー!と声が出た。演じる場所に合わせて演出されていく舞台は、場所の数だけ「旅」がある。あと7カ所で開催されるので、せめてもう一度「旅」に参加してみたいが、、。

皆でぞろぞろと次のポイントに向かう。

ヨーロッパ風?な建物も舞台の一部。
「旅」公演日程
■ 4/28(土)13:30 沼津中央公園(沼津市)
雨天時:新仲見世商店街
■ 4/29(日)12:00 富士宮市役所正面広場(富士宮市)
雨天時:市役所1階ロビー(予定)
■ 4/30(月・祝)16:00 七間町名店街(静岡市葵区)
荒天中止
■ 5/1(火)12:10 静岡文化芸術大学構内(浜松市)
■ 5/3(木・祝)14:00 自転車の国 サイクルスポーツセンター(伊豆市)
雨天時:サイクルスポーツセンター内体育館 ※入場料が必要になります
■ 5/4(金・祝)14:00 遠州横須賀街道(掛川市)
雨天時:県立横須賀高等学校体育館
■ 5/5(土)14:00 富士山静岡空港(牧之原市・島田市)
荒天中止
■ 5/6(日)14:00 エスパルスドリームプラザ(静岡市清水区)
[ 関連サイト ]
静岡県舞台芸術センター(SPAC)「旅」
タグ :ふじのくに⇄せかい演劇祭SPAC
波多野里香展
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Posted by 柚木康裕 at 19:32│Comments(0)
│アート・美術